杉崎が「製品開発と実験をした結果」と「研究者の見解」をまとめました。
「美容師さん向けに」かなり深掘りしましたのでご参考ください。
杉崎が開発したレブリン酸商材はこちら⬇︎
グリオキシル酸「メリット/デメリット」とは?(酸熱トリートメント)
【メリット】グリオキシル酸熱トリートメント
- 独特な架橋効果が優れている
- 結合水ができる
【デメリット】グリオキシル酸熱トリートメント・危険
- そのままつかうとpHが低い(強酸性)ため髪内部まで入らずキューティクル上で反応してしまい髪が硬くなる
- ヘアカラーの発色が悪くなる「とくに寒色」
- ドライ状態は問題ないが、水分を含むと 1週間程度、少し残臭が残る
ざっくり並べただけでもデメリットが気になりなりますね笑
ただ、グリオキシル酸の持つ「独特の架橋効果」は捨てがたいので、なるべくデメリットを少なくした「特殊な使い方」は最後にお伝えします。
【メリット深堀り】グリオキシル酸熱トリートメント
独特な架橋効果が優れている(メチレン架橋)
結合水ができる(イミン結合)
当初はこの2つの効果がクローズアップされていて話題の成分でした。その流れでメーカー・ディーラー・美容師が飛び付いて一気に流行りました。
ここで1番間違って伝わったのが「髪の癖が伸びる」というものでした。
実際には「癖は伸びません」
正確には「髪質によって癖が伸びたように感じる」です。
間違って伝わり流行ったせいで「酸熱トリートメントでのトラブル」が広がってしまいました。
今でも、他店でグリオキシル酸の間違った使い方をされてしまい困っているお客様がご来店されます。
繰り返しの使用がとても危険。
通常使用の1〜2回であれば、まだメリットを感じられ大丈夫なケースがありますが「デメリットが大きい」です。
次に「そのデメリットについて」深掘りしていきます。
【デメリット深堀り】グリオキシル酸熱トリートメント・危険
そのままつかうとpHが低い(強酸性)ため髪内部まで入らず、キューティクル上で反応してしまい髪が硬くなる
なぜか?
グリオキシルの分子量は74で小さいので髪の中(コルテックス)まで入りそうですが、実際にはそのまま使用するとグリオキシル酸のpHが1〜3なので(メーカーによって違う)髪の表面に吸着してしまい中まで浸透せずキューティクルで反応してしまいます。
[ さらに細かく説明すると ]
グリが持つpHは等電点以下のため(pH1〜3)髪は等電点以下になると「毛髪は+にチャージ」される。そこに「−を持つグリオキシル酸」を塗布すると、毛髪表面にイオン吸着しコルテックスまで入らない。
[ 結果 ]
グリオキシル酸の架橋効果がキューティクルで最大化してしまい、それを続けると髪が堅くなり最悪なケース「毛がチリチリ・ビビり毛」「過収歛」します。意味を分からずに回数を重ねていけばそうなる訳です、、、
トリートメントで薄め濃度調整をし短時間で効かせればまだマシですが、それはかなりの熟練者じゃないと難しく実際に他店でチリチリになってお直しでご来店される方が多いです。本当に危険です。
ヘアカラーの発色が悪くなる「とくに寒色」
よくグリオキシル酸を使っている美容師さんから相談されるのが「ヘアカラーの染まりムラ」です。
先程の話が理解していると「なるほど!」となっているはずですが、ヘアカラーは「キューティクル〜コルテックス」まで浸透し、酸化重合により染料が大きくなり定着し流れ出ないようになります。
それでなぜムラになるかというと、、、
グリオキシル酸でカラーがムラになる「原因4つ」
- グリがキューティクル上で反応し髪が硬くなり、染料が入りにくくなる
- 寒色は分子量の関係で表面で染まることが多いのでそこに表面で反応するグリが入るとムラになる
- グリは還元剤ではないですが「還元作用」があるので染料中間体(ジアミン)と調色剤(カプラー)で酸化重合する間に「グリオキシル酸が入り」邪魔をしてしまうので「色持ちが悪く」「色ムラ」になるのです。
- 上で説明したことの影響により、通常時より染まる時間や染まりにくさがあるのに、いつのも放置タイムで流してしまい正しい発色をしない。
ドライ状態は問題ないが、水分を含むと 1週間程度少し残臭が残る
臭いに関しては個人差もあり気にならない方もいますが、一定数気になる方もいらっしゃいました。独特の臭いですね。
グリオキシル酸熱/〇〇水素トリートメント・髪質改善施術でチリチリになった方ご来店
インスタでご覧になりご来店。撮影許可済みの方を掲載します。
1、毎月やれば良くなると言われて施術した方・8回くらい(グリオキシル酸単体)
毛先のちりつき
2、毎月やれば良くなると言われて施術した方・9回くらい(グリオキシル酸単体)
アホ毛の悪化・表面のキューティクルに効きすぎてしまい逆にうねりが出てしまった
3、デジタルパーマの失敗を改善するために施術した方・3回くらい(グリオキシル酸単体)
ある程度の髪は改善することも可能ですが、使う薬剤によって悪化させてしまいます。
最近のお客様はこちら(上と下は同一人物です)
カラーはお休みしながら「レブリン酸の酸熱トリートメント」と「特殊な縮毛矯正剤」を使いここまで綺麗に髪質改善されました!
正しい使い方をしないと本当に怖いですしお客さまが可哀想です、、、
じゃ、危険だったらグリオキシル酸のpHを上げれば良くない?
と、普通思いますよね?そうすると確かに危険は回避されます。
ただ、それをしてしまうと「グリオキシル酸自体が壊れてしまうのです」
ここで、酸解離定数(pKa)というものが出てきます。
分かりやすく言うと「グリがその数字を越えると分解されてしまう数字」
【 ※詳しく知りたい方は以下↓をお読みください 】 グリオキシル酸自体が「壊れる」と書きましたが、これは分かりやすくするために表現しています。 「元の状態ではなくなる=壊れる」というイメージです。 化学的には「解離」です。 pKaとは、Hが1/2解離するpHのことです。
グリオキシル酸の酸解離定数(pKa)とは?
酸解離定数(pKa) は3.18です。
グリオキシル酸は「モノカルボン酸(カルボン酸が1つ)」なので「pKa1」で終わりです。
(ちなみにマレイン酸は「ジカルボン酸」でカルボン酸が2つなので「pKa2」まであります)
https://m.chemicalbook.com/ChemicalProductProperty_JP_CB9455362.htm
ChemicalBook
よって、グリのpHを上げれば上げるほど「グリのメリットが弱くなり」効果がなくなります笑
(なので最初から高pHのグリオキシル酸商材が存在しない訳です。もしそのような製品があれば懐疑的ですね笑)
ですが、混ぜる物と使い方次第では髪質によって「効果的に使えるシーン」があります!
それはこちら、、、
アルカリ酸熱トリートメント・グリオキシル酸/オススメの使い方
「髪の等電点」(pH4.5~5.5)になるようにアルカリクリームとグリオキシル酸を混ぜます。(アルカリ剤と混ぜるところがポイントです)
これを「アルカリ酸熱」と言っている方がいますが昔からある方法です。
トリートメントで混ぜるよりもアルカリ剤と混ざることで酸が解離し「髪表面での保湿効果」と「少しの架橋効果」が出ます。
等電点にすることで、髪が持っている+と−がバランスを保つことにより髪表面で引っ張られず、生き残っている残りの酸がコルテックスに入ります。これでグリオキシル酸の危険はかなり回避できます!
グリオキシル酸単体でやる危険(リスク)は減りますが、その分架橋効果は低下します。そこが難点ですね、、、
さらに詳しく知りたい方はこちらのオープンチャットにて色々回答していますのでご覧ください!
匿名登録でお金もかかりませんのでお気軽にご質問を(^^)
髪質改善オープンチャット「セレクタープロファイブ」レブリン酸/グリオキシル酸
アルカリ酸熱トリートメント・グリオキシル酸/どういう髪の人にやるのがオススメ?
- 初めてグリオキシル酸を使う髪
- ブラウンカラーや暖色を中心にしている方
- リタッチカラーしかしない方
- ヘアカラーをしなくて乾燥が気になる方
がオススメです。
従来のグリオキシル酸ほどの色ムラは出ないので普通のカラーでも問題ないですが、少しでもカラーにこだわる方であれば、ペールトーンや薄い寒色は避けた方がいいかと思います。
これでグリオキシル酸を使う危険(リスク)を減らし、あの独特の質感を再現できますね!
アルカリ酸熱トリートメントとレブリン酸の併用と頻度
髪質によりますが、アルカリ酸熱オススメの頻度(周期)は年に1〜3回ですね。
髪への効果に合わせて変えます。次回来店時の毛髪診断時に髪が丈夫になったと感じた時点で、レブリン酸を使った髪質改善トリートメントにシフトし「化学的結合水」を作り補修保湿効果を高めます。レブリン酸トリートメントは月1での施術です。
「ちゃんとした効果のあるレブリン酸」であれば1年でかなり改善されると思います。現に自分のお客様はそれでかなり綺麗に髪質改善されて驚かれています。
次回はレブリン酸についての違いを書きます。これも知らない人が多く「同じレブリン酸でも効果が全然違います」
正しい使い方をするとこういう状態でも対応できます⬇︎